ある日の夕方、ニーナさんの散歩でのこと。
奈良公園の大通りから一本裏に入った所を通りかかったとき、建物から二人の女性が出てこられました。
一人は手に白杖 を持つ方で、もう一人の方が心配そうに見送られているところでした。
(どこまで行かれるのだろう…)
しばらく後ろを歩きながら、声をかけることにしました。

「あの、どちらまで行かれますか?」
「商店街の方です」
「それなら近鉄奈良駅の方ですね。よかったらご一緒しますが・・・」
「わぁ! 助かります。お願いします」
と、とても明るい声で答えてくださったのです。
「左手に犬を連れていますので、右の肩を持っていただいていいですか?」
「あっ、犬を連れた方が歩いていらっしゃると思ってました!」
さすがというか、必然的にというか、その女性が周りの状況を音でよく判断されているのに驚きました。(次ページに続く