メンバーの都築です。
この春、娘が大学を卒業し東京に移り住むことになりました。
東京に出発する前日、ふらっとどこかへ出て行き帰ってくると、「奈良公園の鹿たちにお礼の挨拶をしてきたわ」と言うのです。

奈良で生まれ、奈良で育ち、奈良公園へは親子で数えきれないくらい足を運びました。春の桜、夏は燈花会のボランティア、秋の正倉院展、新春の若草山焼き、奈良に春を告げる東大寺の修二会・・・。思い出は数限りなくあります。

特に高校3年間、奈良公園を抜けて毎日通学していた娘は、落ち込んだとき、辛いことがあったとき、奈良公園で時間を過ごし、奈良公園の鹿たちに随分慰められたらしいのです。「また奈良公園の鹿さんに癒されに帰ってくるわ!」そう言って、娘は東京へ飛び立っていきました。

子育てをするあいだ、ずっと心にとめていた俵万智の一首があります。
「たんぽぽの 綿毛を吹いて見せてやる いつかおまえも 飛んでゆくから」
この春は、奈良公園で久しぶりにたんぽぽの綿毛を吹いてみようと思います。娘に代わって、鹿たちが見てくれるでしょうか・・・。